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野菜作りにおいて、避けては通れない害虫問題。ですが、すべての虫が野菜たちにとって”害”がある訳ではありません。虫の特徴を理解することで、おいしい野菜を栽培することや無農薬野菜を栽培することなどに大きく関係してきます。
この記事では、野菜作りに関わる虫について紹介していきます。
野菜につく虫には害虫と益虫がいる
野菜につく虫には『害虫』『益虫』と大きく2種類存在します。『害虫』は馴染みがある言葉かと思いますが、『益虫』はあまり聞きなれない方も多いのではないでしょうか?
そんな2種類の虫の違いについて紹介します。
野菜栽培に有害な虫(害虫)とは?
まず『害虫』というのは、野菜に悪影響を与えてしまう虫のことを指します。
野菜作りにおいては、野菜や葉っぱを食べてしまったり、病気を運んできたりと野菜に悪影響を与えてしまう虫たちを『害虫』といいます。
野菜栽培に有益な虫(益虫)とは?
『益虫』は、野菜作りにおいて良い影響を与えてくれる虫のことを指します。
野菜作りにおいては、害虫を食べてくれたり、花の受粉をサポートしてくれて野菜の実がなりやすくしてくれる、野菜に良い影響を与えてくれる虫たちを『益虫』といいます。
主な害虫の種類
害虫は野菜作りに悪影響を与えてしまうので、見つけたら取り除く必要があります。
では、害虫にはどのような種類がいるのでしょうか?野菜作りにおいてよく見る主な害虫たちと、農薬を使わずに対処する方法について紹介していきます。
また、害虫の予防と対策について詳しい記事も別で用意しています。そちらも是非参考にしてみて下さい。
アブラムシ
アブラムシは野菜の栄養を吸ってしまい、野菜の発育を妨げてしまいます。また、病気を野菜にうつしてしまうこともあり、野菜の発育に大きな悪影響をもたらしてしまう害虫です。
アブラムシを見つけたら、駆除しましょう。
植物を傷めないように粘着力の弱いテープで取り除くか、歯ブラシでこすり落とす方法があります。直接触りたくない方は、強めのシャワーで洗い流す方法もあります。
アオムシ
アオムシは野菜の葉っぱを好んで食べてしまうため、野菜の光合成が行えず野菜の成長に大きな悪影響をもたらしてしまいます。
アオムシを見つけたら、駆除しましょう。苦手な方は、割りばしなどでつまみだして直接触らずに駆除してしまいましょう。
アオムシはモンシロチョウの幼虫ですので、モンシロチョウが飛び回っている畑はアオムシの卵がついている可能性も高いので、葉っぱの表裏を確認して、卵があれば取り除いておきましょう。
ヨトウムシ類
ヨトウムシ類はアオムシ同様、野菜の葉っぱを食べてしまい、野菜の発育に悪影響を与えてしまいます。ヨトウムシ類は夜行性で、昼間は土に潜ってしまうので見つけにくく、駆除がしにくい害虫です。
市民農園での対策としては、米ぬかを好むヨトウムシ類の性質を利用します。
風や雨の影響を受けにくい場所に米ぬかを入れた容器を置いておき、おびき寄せたヨトウムシ達を野菜から離れた場所で殺虫剤などをかけて駆除する方法があります。
ヨトウムシは集団生活をしており、一匹ずつ駆除するのは現実的ではないのでこの方法でまとめて駆除するのがオススメです。
コガネムシ(成虫・幼虫)
コガネムシは成虫と幼虫で違う悪影響を野菜に与えてしまう害虫です。
コガネムシの幼虫は地中で植物の根などをエサにしてしまうため、野菜の発育に悪影響を与えてしまいます。コガネムシは成虫になると、土から出てきて野菜の葉っぱなどを食べてしまい、植物の光合成の邪魔をしてしまいます。
コガネムシを見つけたら、駆除しましょう。ただ幼虫は土の中に生息しているため、見つけにくいので発生する前に、土にネットなどをして対策することが望ましいです。
カブラヤガ
カブラヤガは別名ネキリムシとも呼ばれ、野菜たちの茎を食べてしまい、野菜に悪影響を与えてしまう害虫です。
夜行性で、昨日まで元気だった野菜が茎から折れて倒れていたらカブラヤガの幼虫が近くにいる可能性が高いです。他の野菜に被害が広がらないように、周りの土を数cm掘り返すと簡単に見つけれるのでつまみだして駆除しましょう。
ワアノメイガ
ワアノメイガはメイガ類(蛾の一種)の幼虫で種類も多く、葉を食べてしまう種から、茎や果実に潜り込んで食害してしまう種もいる、とても厄介な害虫です。
幼虫が茎や果実に入ってしまうと駆除するのは難しいので、被害を確認したら他の野菜に影響が無いように、早めにその部分ごと切り取りましょう。
ワアノメイガは酢の匂いを嫌うため、自然農薬であるお酢スプレーを使用すると効果的です。
お酢スプレーの作り方
- 500mlの水に大さじ2杯のお酢を配合
お酢スプレーを、葉っぱの表裏や茎に散布することで、ワアノメイガが近寄りにくくなります。
ナメクジ
ナメクジは野菜や草花の新芽、若葉を食べてしまう害虫です。キャベツやハクサイなど葉物野菜に関しては、野菜内部まで入り込むこともあり、誤って食べてしまうと発熱や頭痛などの症状をもたらしてしまいます。
ナメクジを見つけたら、駆除しましょう。
ナメクジの駆除はトラップを仕掛けて駆除すると、効果的です。オレンジジュースを”深めの容器”に入れて野菜の近くに置いておくと、オレンジジュースを飲みに誘引され容器に入り、駆除できます。
容器が浅いと、逃げられるので注意しましょう。
ハダニ
ハダニは葉っぱの裏に寄生し、葉っぱの水分などを吸汁して光合成に悪影響を与えてしまう害虫です。ハダニは約0.5㎜と小さく、肉眼で確認しにくいですが、葉っぱが枯れて落ちてしまうことが増えるとハダニがいる可能性が高いです。
ハダニは水に弱いため、葉っぱの裏などもしっかり水を濡らしておくと繁殖しにくくなります。
センチュウ
センチュウは土の中に生息しており、根っこに穴をあけて中に侵入し、野菜の生育に悪影響を与えてしまう害虫です。土の中で野菜の成長を邪魔してしまうので、早期発見が難しく被害が蔓延しやすい大変厄介な害虫です。
センチュウは熱に弱いため、60℃程度の高温で数分間で死滅します。
晴れた日に野菜にしっかり水をあげた後で、ビニールなどで土壌表面を覆うと、高温状態を土の中で作れるので、センチュウを死滅させることができます。
ウリハムシ
ウリハムシは幼虫と成虫で、違う悪影響を野菜に与えてしまう害虫です。
幼虫は土の中に生息し、根っこを食べて野菜の成長を妨げてしまいます。成虫になると、外に出てきて葉っぱなどを食べ、光合成の邪魔をしてしまいます。
ウリハムシは草木灰を嫌うため、忌避剤として使用するとウリハムシを寄せ付けない環境を作ることができます。
草木灰とは・・・
- 植物を燃やしてできた灰のこと。無農薬野菜栽培では多くの害虫対策に使えるので大変便利!
自作でなくても、ホームセンターなどで購入することもできます!
キスジノミハムシ
キスジノミハムシは幼虫と成虫で違う悪影響を与えてしまう害虫です。
ダイコンやハクサイなどのアブラナ科の野菜に寄生することが多く、幼虫は根っこを、成虫は葉っぱを食害して野菜に悪影響を与えてしまいます。
キスジノミハムシは熱に弱いため、50℃程度の高温状態で30秒ほどで死滅します。
晴れた日に野菜にしっかり水を与えた後、土をビニールで覆う”熱水土壌消毒”を行うことで駆除することができます。
テントウムシダマシ
テントウムシダマシは益虫であるテントウムシによく似た虫ですが、野菜の葉を食べて光合成を邪魔してしまう害虫です。
益虫であるテントウムシは害虫であるアブラムシを捕食してくれるので駆除する必要はありませんが、良く似ているので注意が必要です。テントウムシダマシはジャガイモ、ナス、トマトなどのナス科の食物に多く出現するので、それらの作物を栽培する際には注意が必要です。
テントウムシダマシを無農薬で駆除する場合は、手で取り除く方法が一番手っ取り早い方法です。直接触りたくない場合は、食物をゆすり振動させてみましょう。テントウムシダマシは疑死行動(死んだふり)をして落ちてくるため、ほうきやちりとりなどを使い駆除すると良いでしょう。
主な益虫の種類
益虫は野菜作りにおいて良い影響を与えてくれるので、見つけても取り除く必要はありません。むしろたくさん畑に来てほしい虫たちです。
野菜作りにおいて主な益虫と、野菜にとってどんな良い影響を与えてくれるのか紹介していきます。
テントウムシ
テントウムシはアブラムシなどの害虫を捕食してくれる益虫です。
テントウムシが畑に増えると、農薬を使わずにアブラムシを自然と駆除してくれます。
ヒラタアブ(幼虫)
ヒラタアブの幼虫はアブラムシを捕食してくれる益虫です。
半透明でウジ虫のようで駆除してしまいたくなる見た目ですが、駆除しないようにしましょう。
クサカゲロウ(幼虫)
クサカゲロウの幼虫もアブラムシやハダニを捕食してくれる益虫です。
アブラバチ
アブラバチは害虫のアブラムシの体内に産卵し、孵化した幼虫がアブラムシの内臓などを食べて成長するため、結果的にアブラムシの数を減らしてくれる益虫です。
アオムシコマユバチ
アオムシコマユバチは害虫であるアオムシの体内に産卵します。
孵化するとアオムシの体表を破って出てくるため、害虫であるアオムシの数を減らしてくれる益虫です。
カマキリ
カマキリは肉食性の昆虫で、アブラムシなどの害虫を捕食してくれる益虫です。
しかしカマキリの捕食対象は益虫にも及ぶため、益虫を捕食してしまうこともあります。
クモの仲間
クモの仲間も多くの害虫を捕食してくれる益虫です。
クモを見つけた場合は駆除せずに、そのままにしておくことで害虫の被害を減らせるでしょう。
その他の虫
野菜作りにおいて、害虫や益虫に分けれないその他の虫も存在します。数が少ない場合は駆除する必要はありませんが、大量発生する場合は注意が必要な虫たちです。
その他の虫たちについて、どんな注意が必要か紹介していきます。
アリ
アリはとてもポピュラーな虫で土に巣を作るため、畑には現れやすい虫です。畝に巣を作ることも珍しくないですが、直接的に野菜に被害を与えることはありません。
しかしアリはアブラムシの出す甘い蜜を食べ、アブラムシの天敵であるテントウムシなどの益虫を追い払ってしまうこともあります。アリが増えすぎていると、アブラムシが繁殖している恐れがあるので注意が必要です。
ダンゴムシ
ダンゴムシも畑に限らずお庭などでよく見るポピュラーな虫ですよね。
ダンゴムシは枯れ葉などを食べ、その糞が肥料となってくれる益虫としての役割を担ってくれる一面と、新芽や柔らかい根を食べてしまう害虫としての一面がある虫です。
大量発生してしまった場合は木酢液などで数を減らしましょう。
”虫”と上手く付き合っておいしい野菜を育てよう!
野菜栽培を始めると、必ず向き合う”虫”との距離感。虫は害虫だけでなく、野菜作りに良い影響を与えてくれる益虫もいることを紹介してきました。
無農薬栽培で野菜を育てていく場合、虫と上手に付き合うことは、おいしい野菜を育てるためには欠かせません。
外虫と益虫もバランス良くいるのが良い環境
野菜作りにおいて、益虫を増やすためにはどうしたらいいでしょうか?
答えは「害虫に来てもらう」ことです!
益虫は害虫を食べたり、寄生したりと、害虫を利用して繁殖活動をするので、害虫がいないと、益虫は来てくれません。仮に害虫を全て駆除してしまうと、その畑は益虫にとってあまり魅力の無い環境となってしまいます。
無農薬野菜栽培を行うにおいて、害虫と益虫もバランスよく共存する、自然の生態系を活かした環境づくりをすることでおいしい野菜作りにつながります。
例えば、10匹の益虫と2匹の害虫がいる環境を想像してみましょう。たしかに2匹害虫はいますが、益虫が害虫を食べてくれるので、害虫はいなくなり、野菜にとって無農薬でも良い環境を作ることができます。
このように、益虫がたくさんいて、害虫がちょっといるというバランスが畑にとっては良い環境といえます。
まとめ
この記事では野菜栽培における「虫」について紹介してきました。
野菜作りにおいて害虫と益虫に分けられる虫ですが、全ての虫を駆除する必要はありません。
虫には有害なイメージがある人も多いと思いますが、野菜作りにおいては必ずしもそうではないことを覚えておきましょう。農薬を使用しなくても、益虫の特性を上手く利用すれば、野菜にとって害のある害虫を減らして、良い環境の畑を作ることができます。
害虫と益虫について正しい知識を身に着けることで、”人” ”害虫” ”益虫”とのバランスのとれた上手な付き合い方ができ、おいしい野菜を育てるヒントになると思います。
みんなで一緒に!! 市民農園の楽しさを探求しましょう。
市民農園についてもっと詳しく知りたい方は下記のリンクをチェックしてみてください!
実際の市民農園を運営しているものなので参考になると思います。
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