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はじめに
植物を育てるとなると、種まきからというイメージがあるかもしれませんが、
野菜作り初心者の方には、園芸店やホームセンターで苗を購入して植えることをおすすめします。
苗から野菜作りをすることで、失敗する可能性がグッと減るからです。
農家には昔から伝わる言葉に「苗半作」という格言があります。
これは、苗の出来栄えによってその野菜の出来の半分が決まるという意味です。
園芸店やホームセンターで、栽培のプロが育て上げた苗を購入することで、
野菜づくりの成功確率を上げることができるので、ぜひ積極的に活用してみてください。
この記事では、野菜を苗から育てるメリットやよい苗の選び方、定植の具体的な方法を解説します。
野菜を苗から育てるメリット
冒頭で、初心者の方には苗から育てる方が良いと説明しましたが、
なぜ種からではなく、苗から育てた方が良いのか、そのメリットを解説します。
①栽培のプロの育てた苗を使える
園芸店で販売されている苗は、きちんと温度や水分管理のされた丈夫な苗です。
そのような苗は、畑の環境の変化にも強く、しっかりと根付いてくれます。
②植えるタイミングを測らなくて良い
苗は、基本的に購入したらすぐ植えることができます。
定植をしたい日やその前日に購入しておけば、すぐに作業に移れます。
③植える数を調整できる
種はその性質上、どうしても100%発芽してくれません。
そのため自分が育てたい数よりも多めに種を蒔く必要があります。
狙った数だけ芽が出てきたら最高なのですが、多めに苗ができてしまって余ってしまったり、間引きの作業が必要だったりと、初心者の方には少し難しいです。
育てたい数の苗を購入するのが、失敗がなく確実です。
④収穫までの栽培期間が短くなる
種は芽が出て畑に植えられる大きさになるまで時間がかかります。
野菜の種類によっては、苗を買う段階で花が咲いていたり、小さな実がついていたりするものもあるので、普通なら種まきから収穫まで半年かかる野菜も、数週間〜1ヶ月の短い期間で収穫が可能です。
⑤病害虫の被害に強い
種まきをして出てきた芽は、いわば植物の赤ちゃんです。
抵抗力はなく、病気や虫の被害が出ると、いっせいにやられてしまいます。
ある程度苗が成長している状態だと、抵抗力があるため被害を受けにくく、病害虫の対策の手間が省けます。
【注意!】
苗から育てるのは初心者におすすめの方法ですが、どうしても種から育てないといけない野菜もあります。
それは、ダイコン、ニンジン、ジャガイモなどの根っこを食べる野菜です。
植え替える際に根っこが傷ついてしまい、失敗してしまう可能性が高いです。
根菜類を育てたい場合は、種から育てましょう。
詳しい種のまき方はこちら!
よい苗の見分け方
健康で丈夫な苗を選ぶことで、野菜作りの成功確率をグッとあげることができます。
ただ、よい苗の条件は挙げだしたらキリがありません。
また、葉っぱの色やハリ、葉の厚さ、葉と葉のつまり方など、見極めるにはそれなりの経験が必要です。
今回は、初心者の方でも見分けられるポイントをシンプルにまとめました。
園芸店やホームセンターで苗を購入する場合は、以下のポイントに気をつけて選ぶと良いです。
- 葉っぱが黄色くなったり、枯れていないか
- ポットの底から根が出ているか
- 茎が曲がったり、折れていないか
迷ってしまったら、店員さんに聞いてみるのもよいと思います。
また、よい苗を選ぶことに集中しすぎて、
店頭の苗を傷つけないように注意して、優しく選びましょう。
定植前の畑の準備
苗を定植する前に、畑の準備を済ませておきましょう。
定植をする2〜3週間前に土づくり、ウネ立て、マルチ張りの作業を終わらせておきたいです。
具体的な方法はこちら!
(仮)土づくりの記事 (仮)ウネ立ての記事 (仮)野菜作りに必須!?マルチ張りキホンを徹底解説!メリット6選!定植に必要な道具
定植をする際に使う道具は以下の通りです。
- 野菜の苗
- 軍手
- 移植ゴテ(スコップ)
- ジョウロ・ホース(水やり用)
- マルチに穴をあける道具(ハサミなど)
- 支柱・紐
- メジャーや定規
野菜の苗
植える野菜によって育ちやすい間隔があります。
苗を用意をするときには、自分の畑にどれだけの苗が植えられるのか、
ウネの長さと植える間隔を調べて、必要な苗の数を把握しておきましょう。
「トマト 株間」というように検索すると出てきます。
軍手
素手の方が細かい作業はできますが、土を触るときにはできるだけ軍手や作業用の手袋の着用をおすすめします。
土の中には鋭利な石や噛みついてくる虫など、ケガの要因になるものがたくさんあります。
移植ゴテ(スコップ)
定植する時の植え穴を作るときに使います。
ジョウロ・ホース(水やり用)
定植前の苗や定植後の畑にはたっぷり水をあげたいです。
以下の道具はなくても構いません。
ですが、あれば便利なので余裕があれば用意しましょう。
マルチに穴をあける道具(ハサミなど)
マルチを張った場合は、植えるときに穴をあけられる道具が必要です。
マルチに穴をあける専用の道具が売っていますが、
ハサミや移植ゴテの先端で軽く切り込みを入れてもあけることもできます。
支柱・紐
背の高い苗(トマトやピーマン)を植える場合に使います。
紐は麻紐がおすすめです。
メジャーや定規
苗を植える間隔を測るのに使います。
あらかじめ測っておいた紐や棒を使うのも便利です。
豆知識
苗の植える間隔は、10cm、15cm、20cmのことが多いです。
毎回測る道具を用意するのも大変なので、この間隔を手の大きさとスマホで測っています。
- 10cm:こぶしの横の長さ
- 15cm:スマホ(iPhone15)の縦の長さ
- 20cm:手のひらを思いっきり広げてパーにした時の親指から小指までの長さ
みなさんも自分の身体や普段身につけているものの長さを測っておくと、
今後定植するときに便利なので、参考にしてみてください。
定植の手順
①ポットに入っている苗に水やりをする
水やりをすることで、ポットから取り出しやすく、土が崩れるのを防ぎ、定植後枯れにくくなります。
②畝に苗を置いてみる
事前に調べた苗を植える間隔で、まずはポットのまま置いてみます。
この手順を行うことで、作った畝にちょうどよく苗を植えることができます。
もし、苗が多くて作った畝に入りきらない場合は、間隔を5cmくらい狭くしても意外と大丈夫です。
もったいないので植えてしまいましょう!
③マルチに穴をあける
穴あきマルチやマルチを張らない場合は飛ばしてよい手順です。
専用の穴をあける道具やハサミ、移植ゴテを使って穴をあけます。
穴の大きさはポットの直径と同じくらいの大きさです。
ハサミや移植ゴテを使う場合、マルチに軽く切り込みを入れて優しく手で穴を広げましょう。
手で無理矢理あけると穴が大きくなってしまい、そこから風が入ってマルチが破れてしまうことがあるので、穴は必要最小限の大きさに留めるようにしましょう。
④ポットの大きさの穴を掘る
移植ゴテやスコップで植え付けるための穴を掘ります。
掘った土は埋めるときに使うので、横に置いておきます。
深さはポットの高さと同じぐらい掘りましょう。
穴が浅すぎると根が張りません。
深すぎて茎まで土に埋まってしまうぐらいだと、茎が痛んでしまう場合があります。
最初のうちは、掘った穴にポットを入れてみて、
ポットが埋まるくらいか確認しながら作業すると、失敗しにくいです。
⑤苗をポットから取り出す
苗を手にとって、片手で持ちます。
ポットを逆さまにして、底にある穴を指で軽く押して取り出します。
取り出した苗は、先ほど掘った穴に置きましょう。
【ポイント】
苗を取り出すときは、「苗を抜く」のではなく、「ポットを取る」イメージで取り出すとよいです。
苗を引き抜こうとすると、茎や根を傷めてしまう場合があります。
土を支えながら、ポットを逆さまにし、底面の穴から押し出して、
「土からポットを外す」ように取り出すと、苗へのダメージを最小限にすることができます。
⑥苗を植える
苗の株元(土の表面)が畝の表面の高さと同じになるように最終調整します。
浅い場合は苗を取り出して掘り、深い場合は土を少しずつ戻します。
ただし、ポットから取り出した後に、穴の深さを調整すると、苗の土が崩れたり、
茎や根をうっかり傷つけてしまったりする可能性があります。
慣れるまではポットに入った状態で深さを決めて、取り出した後は微調整で済むように準備すると安心です。
⑦土を被せてしっかりと抑える
苗と穴の隙間に、先ほど掘ったときに置いておいた土を入れます。苗の土は、見えなくなっても大丈夫です。
畑の土を少し被せて苗の周りを上から手で抑えます。
この時の力加減は、ポンポンと優しくするのではなく、
ギュッギュッと茎などが折れない程度に力強く抑えましょう。
苗と畑の土を密着させることで、根が早く畑に定着します。
⑧苗を支柱に固定する
背の高い苗(トマトやピーマン)の場合に必要な手順です。
定植してすぐの苗は、根がしっかり張るまでの間グラついてしまいます。
強風で煽られると最悪の場合折れてしまうので、支柱と紐で支えてあげましょう。
紐で結ぶときは、支柱と茎を直接結ぶのではなく、8の字結びをすると茎を痛めません。
⑨水をたっぷりあげる
植え穴にたっぷり水をあげましょう。
畑の乾き具合にもよりますが、1箇所、30秒〜1分ぐらいたっぷりかけてください。
植える前にも水をあげているので、次の日が雨の場合は飛ばしてもよい手順です。
おわりに
苗はとてもデリケートなので神経質に扱ってしまいがちですが、扱い方を知って、
苗を上手に植えることで、野菜作りの成功確率は大きく上がります。
定植の作業は、野菜作りをする上で何度も行う作業です。
最初に手順をマスターして、快適な農園ライフを送りましょう!